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『週刊誌のツボ』 ★犬も食わない驚愕的ケンカ

 山口敬之・元TBS記者のレイプ疑惑のような犯罪性・社会性のあるスキャンダルなら話はまた別だが、基本的に有名人の不倫だの離婚だのという男女問題に、興味が湧くことはない。松居一代・船越英一郎夫婦のいざこざについても、ユーチューブを使った松居さんの攻撃のすさまじさに、ただただあっけにとられるだけ。「すごいなぁ」と思う以外、語るべき感想は浮かばない。

「このハゲーっ!」の豊田真由子議員の報道に感じるのも、似たようなことだ。あんな人を政治家にしておくのはまずい。それ以上のことは何も思わない。本人については、1日も早く、よいカウンセラーを見つけてほしい、と願うだけだ。

 それでも週刊誌としてはやはり、こうした強烈キャラの人物は見逃せない。とは言っても、音声や映像の衝撃で、すべて語られてしまうこの手の騒動は、その強烈さを事実関係で補足説明する以外、記事の書きようはない。週刊文春は『松居一代「虚飾の女王」』、週刊新潮は『どこまでやるの「松居一代」と「船越英一郎」』と題し、そんな記事をまとめている。

 新潮記事のほうは、ほんの少しだけ、松居さんに同情的なニュアンスが感じられる。“宿敵゛文春がらみの部分である。離婚危機の一報は文春によるものだが、これは松居さんの編集部への手紙がきっかけだったという。しかし文春報道は、彼女を満足させるものではなく、公開動画の第1弾は「週刊文春にだまされました」というテロップから始まるものだった。

 政権追及報道では、文春が『自民党内、地方、公明から同時多発で噴出 安倍首相にNO!』という特集を組んでいるが、そのなかに興味深い記述がある。編集部が入手した下村博文・元文科相の事務所の日報から、菅義偉・官房長官が3年前、当時の閣僚に情報公開の遅延を命じていたことがわかった、という話だ。

 日刊ゲンダイが政治資金規正法に基づき、閣僚の少額領収書の開示請求を行ったことがきっかけで、本来なら対象の政治家は、総務省や選管による提出命令を受け、20日以内に対応しなければならないのだが、例外的ケースにだけ認められるギリギリの「30日」まで対応を引き延ばすよう、官房長官は命じたという(官房長官は否定)。折しも、小渕優子・元経産相の不祥事で揺れていた時期、多少でもタイミングをずらし、ダメージを減らそうとしたらしい。

 口裏合わせやウソ、隠蔽といった裏工作は本来、相手をだますための行為である。昨今の政府対応のように、誰の目にもウソがバレバレになっていても「丁寧に説明している」と言い張るのは、あまりにも世間を舐めた姿勢としか思えない。

 新潮は、メディアから逃げ続ける加計孝太郎氏を岡山市内で発見し、スーパーで直撃、『逃げ隠れする「加計孝太郎」理事長の「疑惑のスイカ」』という摩訶不思議なスクープを報じた。しかし、中身は「発見と直撃」それだけだ。加計氏は記者の質問を黙殺し、購入したスイカを抱えたまま立ち去った。そんな情景の描写に、公知の情報をあれこれ継ぎ足してページをつくっている。「疑惑のスイカ」とは何なのか、解き明かされることはない。

 週刊現代は、下村・元文科相が加計学園パーティー券問題で、「事務所資料を文春に流した」と犯人視する元秘書の反論を掲載した。元秘書はサッカー選手長友佑都の妻でタレントの平良愛梨の弟で、先の都議選で都民ファーストから出馬し、初当選を果たしている。記事のタイトルは『都議選に勝った平良慶翔が怒りの告発「私は下村博文の罪を刑事告訴します」』。さまざまに知名度を上げるカードを持つ新人都議である。

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三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。07年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って』(ともに東海教育研究所刊)など。最新刊に沖縄県民の潜在意識を探った『国権と島と涙』(朝日新聞出版)がある。

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