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『週刊誌のツボ』 ★貴乃花親方への“微妙な感覚”

 日本相撲協会評議会の池坊保子議長は12日、バラエティー番組にビデオ出演し、「今後はもう、携帯番号も変え、メディア取材は受けない」と語ったという。一連の相撲協会のごたごたで、自身の発言がさまざまに批判を浴びたためらしい。

 そのひとつが今週の文春記事だろう。『「貴乃花はクスリをやっているみたいに異様」と吹聴していた池坊保子』。貴乃花対相撲協会の対立で、一貫して貴乃花サイドに立つ文春は『相撲協会の“女帝”と直接対決150分』というサブタイトルもつけている。

 この記事には、彼女の知人によるこんな“証言”も取り上げられている。
「貴乃花親方を持ち上げるメディアに対して不満を持っているようです。最近でも、貴乃花親方について『目が据わっている。誰か黒幕に洗脳されているんじゃないかと思うのよ』などと漏らしていました」

 議長本人は、これを否定。過去、貴乃花について「クスリをやっているかのように変」と評する協会関係者はいたが、自分の言葉ではないと釈明した。

 その一方、文春の同じ号でエッセイスト・能町みね子氏は、自身のコラム「言葉尻とらえ隊」で、週刊朝日に以前、報じられた貴乃花親方が後援者の仏僧に宛てたメールについて、その“異様さ”を指摘している。貴乃花のメールでは、相撲教習所に飾られている「角道の精華」という文章が、どのようなわけか「陛下のお言葉」と解釈され、「国士として力人として陛下の御守護をいたす」という本人の決意が綴られている。能町氏は“飛躍にもほどがある解釈”と呆れ果てている。

 部類の相撲ファンとして知られる能町氏は、横綱白鵬にも相撲協会の八角理事長にも批判的な目を向けているが、《貴乃花親方をヒーロー視する報道に気味の悪いものを感じます》と打ち明けている。

《一方で(貴乃花のように)オリジナル国粋主義に没入し、一方で(白鵬のように)勝ちにこだわってゴネる行為が美しいとされる大相撲になるなら、できれば私が完全に大相撲を見放してからにしてほしいです》

 そもそも文春や新潮が貴乃花サイドに立つのは、白鵬を中心とするモンゴル勢に八百長疑惑があり、貴乃花はこれを問題視している、という前提があってのことだったはずだ。しかしもし、貴乃花にこれを問題化する気がないのなら、一連の対立は何だったのか、という話にもなりかねない。貴乃花のめざす改革とはいったい何なのかと。池坊氏や能町氏の言う「異様さ」という言葉にも頷ける気がしてくる。

 週刊ポストはニュースステーションの元キャスター久米宏氏のインタビューを載せている。キャスター時代の久米氏に関しては、どんな大物政治家と対峙しても平気で相手を茶化す“忖度のなさ”“強心臓”という点で、私自身は評価していたが、正直、反射神経を頼りにまくしたてる彼のコメントには、底が浅く、“引っ掛かり”を覚えるものも多かった。

 今回のポスト記事で久米氏は「(自分がいまニュースステーションをやっていたら)『僕は何があっても貴乃花親方の味方です。理由は申し上げられませんけど』と言ったでしょうね(笑)」と語っている。何だかなぁ……と久しぶりに“頷けない久米節”を味わった気分がした。

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三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。07年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って』(ともに東海教育研究所刊)など。最新刊に沖縄県民の潜在意識を探った『国権と島と涙』(朝日新聞出版)がある。

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