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【今週の提言】 200店舗以上のチェーン調剤が厳しい

 薬剤師対象の転職支援サイト「薬キャリ 職場ナビ」に掲載されている調剤薬局売上高ランキング(2017年版)には、アインホールディングス(1066店舗)を筆頭に、日本調剤、クラフト、クオール、スズケン(ファーコス、エスマイル)、総合メディカル、東邦ホールディングス(ファーマみらい、ファーマダイワなど)、メディカルシステムネットワーク、アイセイ薬局、ファーマライズホールディングス――までが上位10社として紹介されている。

 このリストは、2018年度の調剤報酬改定で“狙い撃ち”された企業のリストでもある。

 まず、前回の改定で“20店舗以上”のチェーンをターゲットにした「調剤基本料3」を、さらに厳しく適正化した。

 具体的には、同一グループの保険薬局による処方箋受付回数が40万回を超える場合には、20点→15点に引き下げられた。前回、4万回で20店舗という計算だったことから、40万回は200店舗以上ということだろう。冒頭の売上高ベスト10はすべて200店舗以上だ。

 さらに、集中率のハードルも95%から85%に10ポイントも厳しくした。例えば、日本調剤(2018年3月期第3四半期)では83%の店舗が「調剤基本料1」を、13%が「調剤基本料3」を算定していたが、改定後はその割合が大きく変化することになるだろう。

 従来は、かかりつけ薬剤師指導料等の一定の算定実績がある場合にはチェーンでも「調剤基本料1」を算定できていたが、それも今回は廃止されてしまい、抜け道をふさがれた。もっとヒドイのは、“敷地内薬局”だ。調剤基本料はわずか10点。親の仇と言わんばかりの点数だ。

 32点だった「基準調剤加算」が廃止され、代わりに「地域支援体制加算」(35点)が新設されたのだが、施設基準の最初にある「地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績」のハードルが高く、算定できる薬局は限られてくる。

 加算を取るためにクリアしなければならない“実績”とは、下記のとおりだ。

 1年に常勤薬剤師1人当たり、以下のすべての実績を有すること。
①夜間・休日等の対応実績:400回
②重複投薬・相互作用等防止加算等の実績:40回
③服用薬剤調整支援料の実績:1回
④単一建物診療患者が1人の場合の在宅薬剤管理の実績:12回
⑤服薬情報等提供料の実績:60回
⑥麻薬指導管理加算の実績:10回
⑦かかりつけ薬剤師指導料等の実績:40 回
⑧外来服薬支援料の実績:12回

 あくまでもワーストシナリオだが、調剤基本料のマイナスと地域支援体制加算を算定できないことによる影響は、処方箋1枚当たり400~500円相当になる。この数値に“40万回”をかけると、月間1億6000万~2億円のマイナスになる。

 苦労して集めた薬剤師を手放すことでコストを削減したいが、人員配置基準があるからそうもいかない。医薬品卸にとっては、厳しい薬価差益の追求にもつながっていく。

 2回前の本コーナーで「2018年度診療報酬改定13のメッセージ」を公開した。最初のメッセージは「地域に貢献しない組織は認めない(一人勝ちは許さない)」だ。調剤報酬は、その色合いが濃く出ているが、製薬企業や医薬品卸にも同じく地域への貢献が求められていることを忘れてはならない。 

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川越満(かわごえみつる)  1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。

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