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【今週の提言】 後期高齢者になっても「3、4時間戦えますか?」

 幼い頃から「働かざる者食うべからず」と教えられ、「24時間働けますか?」というリゲインのテレビCMに「YES!!」と答えていたバブル期世代のおじさんたちは、「プライベート>仕事」で、「3、4時間戦えますか?」の若手社員に対して歯がゆい思いをしているだろう。

 バブル期世代から少し遅れて第2次ベビーブーム(1971~1974年)前後に生まれた私の世代も、受験戦争→就職難を味わい、“雇ってくれた会社”に対して恩返しする気持ちで、プライベートを犠牲にしてきた人が多いのではないだろうか。少なくとも私はそう思って24年間働いてきた。

 政府は「働き方改革」を推し進める一方で、バブル世代と第2次ベビーブーマーに対して、「死ぬまで働け」というメッセージを送り始めている。

 4月12日の経済財政諮問会議に出された「2040年を見据えた社会保障改革の課題」と題する加藤勝信厚生労働省大臣の資料には、2018年に6,580万人の就業者数が2025年には6350万人程度に、そして2040年には5650万人程度にまで激減することが示されている。その対応策として示されているのが次の一文だ。

「高齢者をはじめとして多様な就労・社会参加を促進し、社会全体の活力を維持していく基盤として、2040年までに3年以上健康寿命を延伸することを目指す」

 健康寿命を3年延ばすために、「健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進」と「地域間の格差の解消」の2つのアプローチを推し進めていくという。

 同会議の有識者議員の資料には「元気で働く意欲のある高齢者を『介護助手』として育成・雇用する三重県の取り組みを全国展開すべき」と書かれている。

(特に独居の)高齢者に役割を与えてコミュニケーションの習慣をつけることは、健康寿命の延伸だけでなく、認知症患者を減らすことにもつながりそうだ。

 ただ、在宅医療を中心に行う医師の中には、「健康寿命を延ばしても障害期間が短くなるわけではない」と指摘する声もあり、健康寿命延伸の取り組みが医療・介護費をどこまで減少させられるのかには疑問が残る。

 しかし、国として「健康寿命の延伸」に舵を切ったことは事実として受け止めるしかない。個人的には「死ぬまで働く」覚悟をしないといけないし、製薬企業や医薬品卸は、自らのビジネスを「健康寿命の延伸」(疾病予防・重症化予防、介護・フレイル予防など)にアジャストさせなければならない。

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川越満(かわごえみつる)  1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。

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