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【今週の提言】 リアル講演会の見直し手法

「今回の薬価改定の影響で、講演会がさらに減らされてしまいました」――先週の講演前に某社の営業所長から言われた言葉だが、医師向けの講演会に呼ばれることがここ数ヵ月で増えたこともあり、講演会の回数が全国的に減少しているという実感はない。

 リアル講演会は、インパクト率(「採用する」「増やす」の処方意向の割合)の高さや、VIP医師との接点が増やせるというメリットがある反面、費用対効果やMRの負担増という側面もある。つまり、集客に成功すれば最高だが、失敗すると最悪の結果になる。そして、用意した弁当や情報交換会の料理が余ってしまう。

 ある製薬企業の関係者から面白い取り組みを聞いた。ポリファーマシーを解消する流れがリアル講演会の見直しに役立つというのだ。

<ステップ1>
すべての薬とその使用理由を洗い出す
→すべてのリアル講演会(研究会)とその開催理由を洗い出す
<ステップ2>
副作用を引き起こしやすい状況か否か評価
→副作用(コンプライアンス+MR工数過剰)を引き起こしやすい状況か否か評価
<ステップ3>
各薬剤についての中止の妥当性の評価
→各講演会についての中止の妥当性の評価
<ステップ4>
中止の優先順位をつける
→中止の優先順位をつける
<ステップ5>
Deprescribing(減処方・薬)の実践と経過観察
→De-リアル講演会の実践と経過観察
<ステップ6>
忘れちゃいけないアンダーユース(治療すべきなのにされていないこと。例:骨粗鬆症におけるビスホスホネート製剤や脂質異常症におけるスタチン)
→忘れちゃいけないアンダーユース(例:地域包括ケアに絡めた講演会やウェブ講演会)

 このような手法を各企業の講演会担当者が活用すれば、費用対効果の高い講演会だけが生き残ることになりそうだ。

 ウェブ講演会とリアル講演会の両方に深く携わっている者として感じるのは、使い分けが重要であるということだ。

 ウェブ講演会は、自社製品に関連する情報を周知するのに有効だ。一方、リアル講演会は、One Patientの症例を地域内で共有したり、参加医師のニーズをヒアリングしたうえで演者を選択することも可能である。

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川越満(かわごえみつる)  1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。

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