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【今週の提言】 中にいる人に暗く、外にいる人に明るく見える業界

 2020年卒学生の希望業界、「全体で首位に立ったのは『医薬品・医療関連・化粧品』業界」――。12月4日の日本経済新聞に掲載された記事に、多くの医薬品業界関係者が驚いたに違いない。

 調査したのは就職情報サイトの株式会社ディスコ。2020年3月に卒業予定の大学3年生(理系は大学院修士課程1年生含む)1207人を対象に実施した。

 志望業界のうち18.5%を占めた「医薬品・医療関連・化粧品」を▼文系男子▼文系女子▼理系男子▼理系女子――に分割してみてみると、理系女子でポイントが集中しており(46.3%)、理系男子は21.2%で6位、文系女子が12.8%で7位、文系男子が7.6%で20位となっている。

 一方、DODAが12月3日に発表した「女性の平均年収ランキング」によると、業務改革コンサルタント(642万円)、弁護士(632万円)、アナリスト(603万円)、投資銀行業務(584万円)、運用(ファンドマネジャー・ディーラー:579万円)、プロジェクトマネジャー(561万円)に次いで7位にMR(560万円)がランクインしている。

 報酬の高さも医療業界の人気のひとつだと思うが、報酬額に影響するのは、「誰をお客さんにしているのか」と「利益率」に大きく影響すると考えられる。

 旅行業界は以前から人気業界だが、“格安ツアー”に人気があるように、基本的には利益率の低い業界だ。

 東洋経済がまとめた40歳年収「64業界別」ランキングによると、1位はコンサルの1316万円、64位(最下位)は介護の401万円だった。医薬品は731万円で11位、旅行は519万円で52位だ。やはり、価格設定に根拠が???のコンサル業界は利益率が高く、顧客が経営者なので報酬が高く、価格が国に決められていて、顧客が要介護者で利益の低い介護は報酬が低い。

 12月8日に東京・日本橋で開催した「知恵の輪クラブ」(動画サイト「アリストテレス」の収録イベント)では、医薬品マーケティングの第一人者である堀玲子さんに出演していただき、アメリカの医療事情について詳しく解説していただいた。

 アメリカでは、フォーミュラリーに自社製品を入れることと、薬価を上げることがマーケティングの中心になっているようだが、肝心のMRを見かけることはほぼないという。彼らはリモート・ディテーリングをやっていて、数多くの患者を診なければならない医師とFace-to-Faceのアポイントが取れなくなっているそうだ。

 日本でもフォーミュラリーに自社製品を入れることが重要な仕事になるが、アメリカのように薬価を上げることはできない。国内では利益率が下がり、高い報酬を維持するのは難しくなる。

“なかにいる”我々にとっては厳しい未来ばかり目についてしまうが、就活生にとってはまだ明るい未来が見えているからこそ、人気業界として上位に選ばれているのだろう。

 私も学生には「医薬品業界の未来は明るい」と断言している。なぜなら、満たされないニーズが多すぎるからだ。満たされないニーズにフォーカスすれば、まだまだ、この業界は明るい。

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川越満(かわごえみつる)  1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。

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