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【今週の提言】 診療所が監視モニターに加わる意味

企業「ガイドラインにはちゃんと対応しています。MRにもちゃんとルールを守るように周知徹底しています」

厚生労働省「開業医からのフリーの報告でこんな報告が来ているのですが、これは貴社のことで間違いありませんか?」

企業「(;゚д゚)アッ……」

 4月からスタートする医療用医薬品の販売情報提供活動に関するガイドライン(活動GL)の影響度について、各企業はどれだけ重く捉えているだろうか。

 活動GLと広告活動監視モニター制度は2つでひとつの制度であり、2019年度からモニター制度の対象施設が拡大することを警戒する必要がある。

 19年度は、これまでの大規模な12病院のほかに、精神疾患や慢性疾患患者がいる中規模病院にもモニターを拡大し、24病院にモニターが倍増される予定だ。

 また、モニター配置施設以外の医療機関からも幅広く不適切事例を受付け、広告活動の一層の適正化を図るとされている。この“モニター配置施設以外の医療機関”には、「開業医」も含まれることになりそうだ。

「診療所の医師による広告監視モニター制度の構築に向けての検討」(厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業)分担研究報告書)には、衝撃的な一文がある。

「今回の診療所の医師をモニターとするパイロットスタディから、製薬企業の病院の医師・薬剤師に対するプロモーション活動と診療所の医師に対するプロモーション活動には違いがあり、より不適切な事例が多いように感じられた」

 つまり、病院と診療所では情報提供のレベルに差があるということだ。同報告書は、診療所に対するMRベースドメディスンの影響の大きさを示唆しており、「(悪質な)事例を支払基金等に提供していくこともこういったプロモーション活動を牽制する有力な手段となるかもしれない」と指摘している。

 モニターが12病院から24病院に倍増しても、全国の病院数と10万軒を超える診療所数から見れば、わずか0.2%にすぎない。しかし、厚生労働省が各地域の医師会に協力を求めて報告を依頼すれば、企業の予想を大幅に上回る報告が、診療所から上がってくるかもしれない。

 冒頭のようなやりとりがほぼ100%に近い確率で各企業に起きると思っている。もう一度、活動GLの対策について考え直していただきたい。

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川越満(かわごえみつる)  1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。

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