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社会保障を知り尽くす筆者が根本から解き明かす真の実行可能な改革への処方箋!

社会保障改革への処方箋

商品ID:65
カテゴリ:書籍

著者 : 喜多村悦史 ISBN 978-4-902968-40-8 四六判 388ページ 2013年2月13日発行 社会保障改革は遅々として進まない。それはなぜか? 社会保障を知り尽くす筆者が根本から解き明かす真の実行可能な改革への処方箋!

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目次

第編 社会保障の分析  第1章 国の借金は亡国への道  第2章 まず単年度収支の改善から  第3章 もはや社会保障関係費を切り込むしかない  第4章 失業時の所得保障  第5章 自動不要手当に代わる「育成年金(仮称)」の提案  第6章 基礎年金の支給開始年齢 第編 社会保障の処方箋  第1章 総論  第2章 所得保障  第3章 医療・介護給付  第4章 財源  第5章 制度運営 論文 国民保険(社会保障統合)とその財政見通し  第1章 社会保障統合の必要性  第2章 外国での「国民保険」類似例  第3章 社会保険統合の姿  第4章 国民保険事業の収支予測  第5章 21世紀中の財政見直し


【著者プロフィール】 喜多村悦史(きたむら えつし)

東京福祉大学・大学院教授。 1951年広島県福山市生まれ。京都大法学部卒。1974年厚生省(現厚生労働省)入省。保健局、年金局、保険医療等で社会保険制度の企画・運営等に従事。生活衛生局水道環境部環境整備課浄化槽対策室長、生活衛生局企画課長、内閣府経済社会総合研究所総括政策研究官等を歴任。主な著書に、「国民保険を創設せよ」(時評社)、「浄化槽行政への課題」(生活排水社)、「社会保険再生への道」(論創社)、「百年単位で考える社会保険」(社会保険研究所)、「老後革命」(アース工房)ほか多数。さまざまな定期刊行物に随筆等掲載。 [喜多村悦史ブログ:怒苦打身日記(ドクダミ日記)]


RISFAX 2013年3月18日付掲載

先送りに終止符を打つ、起死回生の社会保障改革  繰り返し改革の必要性が叫ばれながら、先送りに次ぐ先送りで、いよいよ本格的に追い込まれてきたわが国の社会保障制度。しかし心配はいらない。『社会保障改革への処方箋』(医薬経済社)なる新刊書が、学者も官僚も政治家もマスコミも見過ごしてきた「本当の根本問題」を解き明かし、かつ、起死回生の具体的な改革案を列挙して、いま何をするべきかを教えてくれる。  著者は元厚生官僚の喜多村悦史・東京福祉大学大学院教授。社会保障の理論、財政、法令から政策立案プロセス、運営に至るまで、裏も表も知り尽くす著者は、わが国の社会保障を歪めた根本原因は「制度の分立」「国と地方の責任分割」「国庫負担」にある、と診立てる。これらの要素が政治の介入を呼び寄せ、結果、今日のような持続可能性に乏しく、公平性の疑わしい制度になってしまったのだとする。これらの根本原因に対して正しい処置を施さないかぎり、あらゆる改革は空いたバケツに水を注ぐようなものである、というのだ。  では、正しい処置とは何なのか。著者が掲げているのが、「全社会保険の統合」「保険料率の固定」「消費比例保険料の創設」の3点だ。国保と被用者保険、国民年金と被用者年金の統合はもとより、年金・医療保険・介護保険・雇用保険という異分野の制度をもすべてひとつの保険制度に一本化して、重複や非効率や財源の偏在を排除するとともに、国民に対する負担と給付の公平を確立する。将来にわたって保険料率を固定することで世代間の公平を図り、その保険料収入の範囲内で収支が見合うように、給付内容を加入者自治で自己決定する。諸悪の根源たる国庫負担は廃止するが、その代わり消費税を「消費比例保険料」という名目で直接社会保険の財源に組み込む。どういう給付を残して何を折り畳むか、削り込むかについては、同書に詳しく記載されているので、直接参照されることをお勧めする。なお、参考として2100年までの財政収支のシミュレートも付してある。  悲観論をかざすのは憚られるが、人口減少と少子高齢化、都市部のおひとりさま高齢者の急増、経済のグローバル化と競争激化、膨れ続ける財政赤字……と、社会保障を巡る情勢はますます「股裂き状態」の度を強めていく。これ以上弥縫策による先送りを続ければ、そう遠くない将来、確実にカタストロフィがやってくる。ボタンの掛け違えを改め、社会保障の本来のあるべき姿を取り戻す道のりこそが、遠回りのようでいて、実は改革成就のための最も手堅い近道であるのかもしれない。