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【今週の提言】 自由開業医制廃止、医師の年俸4割減へ

 2035年には自由開業医制はなくなっているし、勤務医の年収は今の4割減にまで落ちている。国民皆保険はこのままでは維持できないから保険外を拡大せざるを得なくなる。しかし、保険給付外を担う民間保険は、すべての医療機関と契約することはないだろう――。先日、著名な病院経営者が講演中に触れた“未来の姿”である。

 業界紙の医師向け求人広告をみると年収2000万円前後の数字が並んでいるが、2030年頃に過剰になる医師への報酬が、今の水準を維持できるはずがないし、維持する必要もなくなる。

 日本の医療制度の4大特徴は、①国民皆保険制度、②フリーアクセス、③自由開業医制、④出来高払い中心の診療報酬体系――である。このうち、④はDPCなどの拡大により入院医療の多くは包括払いの割合が増えてきた。これからは、外来医療の部分にも包括払いを拡大することになるだろう。

 冒頭の「自由開業医制はなくなる」発言の意味は、例えば、私がいま働いている東京都中央区では、内科医が多すぎるから内科はもう開業できないから別の地域で開業してくださいというルールである。そうなると、すでに開業している内科系クリニックが既得権益として守られ、適切な市場原理が働かず、国民にもメリットが感じられない制度になりかねない。そうならないためには、医師の定年制や医師免許の更新制度などをあわせて実施する必要がある。

 最近読んだ医療小説『テロリストの処方』(久坂部羊)には“医道八策”として、次の政策が挙げられている。

①医師免許の更新制
②医師及び医療機関の年俸制
③無駄な医療の撤廃
④医師の再教育プログラム
⑤医師のキャリア管轄
⑥医師配置の管轄
⑦医療機関の経営統括
⑧患者説明の徹底

 このうちのいくつかは2035年までに実現するかもしれない。医師よりもMRのほうが給料が高い一部の国では、医師免許を持つMRが活躍しているが、日本もそのような時代がやってくるのだろうか。そもそも医師の年俸が4割減の時代にMRの年俸が今の水準を維持できているとは思わないが……。

 2025年、そして2035年までは大規模な医療制度改革を行わなければならない。未来を見据えながら目の前のことを考える意識が求められている。

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川越満(かわごえみつる) 1970 年、神奈川県横浜市生まれ。94年米国大学日本校を卒業後、医薬品業界向けのコンサルティングを主業務 とするユート・ブレーンに入社。16年4月からは、WEB講演会運営や人工知能ビジネスを手掛ける木村情報技術のコンサナリスト®事業部長として、出版及 び研修コンサルティング事業に従事している。コンサナリスト®とは、コンサルタントとジャーナリストの両面を兼ね備えるオンリーワンの職種として04年に 川越自身が商標登録した造語である。医療・医薬品業界のオピニオンリーダーとして、朝日新聞夕刊の『凄腕つとめにん』、マイナビ2010 『MR特集』、女性誌『anan』など数多くの取材を受けている。講演の対象はMR志望の学生から製薬企業の幹部、病院経営者まで幅広い。受講者のニーズ に合わせ、“今日からできること”を必ず盛り込む講演スタイルが好評。とくにMR向けの研修では圧倒的な支持を受けており、受講者から「勇気づけられた」 「聴いた内容を早く実践したい」という感想が数多く届く。15年夏からは才能心理学協会の認定講師も務めている。一般向け書籍の3部作、『病院のしくみ』 『よくわかる医療業界』『医療費のしくみ』はいずれもベストセラーになっている。

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