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『週刊誌のツボ』 ★財務省のゲス次官

 モリカケ問題や陸自日報問題で連日、国会の紛糾が続いている。自民党の二階俊博幹事長や小泉進次郎議員らは「もううんざり」という言い方で、少なからぬ国民の思いを代弁してみせたが、同じ「うんざり」でも、そのニュアンスは立場によって真逆になる。「野党やメディアのしつこさ」に苛立つ安倍政権の熱狂的ファンもいれば、「いったいどこまでデタラメが暴かれれば政権は非を認めるのか」と、政権の開き直りに呆れ果てる人たちもいる。

 私自身はもちろん後者のひとりである。通常ここまでボロボロにウソや隠蔽が暴かれれば、とっくに政権は白旗を上げるものだと思っていた。しかし安倍首相は、自らが直接的指示をした記録や録音でもない限り、傍証がいくら出て来ても頑張り通すつもりらしい。気の毒なのは、それに付き合わされる官僚たちである。

「自分が記憶する限り、その人たちと会った記憶はない。面談の有無を示す記録も残ってない」「役所からウソの口裏合わせを持ちかけたのは事実だし、申し訳ないが、国有地の払い下げそのものは適正に行われた」。日本でトップクラスの優秀な人たちが、こんな見え透いた強弁を続けるしかなくなっているのである。

 かと思えば、同情をすることもばからしく思える官僚も存在する。週刊新潮がそんなひとり、火だるまのさなかにいるはずの財務省事務次官のあきれた行状を暴いている。『「森友危機の折も折!」 ろくでもない「財務事務次官」のセクハラ音源』という記事である。芸能人であれ政治家であれ、普段なら下半身のゴシップにほとんど関心のない私だが、さすがにこの件は「折も折」であり、メディアと高級官僚の関係性を暴くとんでもない話として驚愕した。

 問題の人物は82年入省の財務省事務次官・福田淳一氏。“被害者”は不特定多数の女性記者たちで、「“キスしていい?”は当たり前。“ホテルに行こう”って言われた女の記者もいる」「1軒目の財界人との会合後の2軒目で女性記者を呼び出すというパターンが多い」のだという。

 記事にある「深夜に呼び出した30代女性記者」とのやり取りがすさまじい。
「財務省と森友学園、どうなんですかね」
「今日ね、今日ね……抱きしめていい?」
「ダメです」
 (中略)
「福田さんは引責辞任はないですよね」
「もちろんやめないよ。だから浮気しようね」
 あくまでも取材をしようとする記者への一言ひとことに、「胸触っていい?」「縛っていい?」というセリフが脈絡なく織り込まれる。

 こんな男が目下、財務大臣に次ぐ省内ナンバー2なのだ。当の福田氏は新潮記者の直撃を受けても徹底して“セクハラ疑惑”を否定したが、この書きっぷりではどうやら録音もあるとみて間違いない。次週の続報では、そのことが暴かれるのだろう。

 それにしても、よりによって取材記者たちを相手にこうした態度をとる神経には、驚く以外ない。醜態を暴かれるリスクを考えなかったのか、そこまでメディアを舐め切っていたのか。その裏には、間違いなくメディア側の不甲斐なさもある。今回の暴露記事も、第三者の新潮によるものだった。記者クラブの面々は、次官をここまで付け上がらせた自分たちの弱腰を反省する必要がある。

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三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。07年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って』(ともに東海教育研究所刊)など。最新刊に沖縄県民の潜在意識を探った『国権と島と涙』(朝日新聞出版)がある。

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