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『週刊誌のツボ』 ★新潮45問題など

 沖縄では、本土より4~5日遅れで週刊誌が売り出される。なので、那覇市に滞在する現状では各誌電子版の誌面しか読めていないのだが、今週、紙媒体のほうの週刊文春には、電子版にないスクープ記事があったらしい。『「新潮45」休刊論文 小川榮太郎に「ネットワークビジネス」の過去』。週刊文春WEBというサイトの「スクープ速報」に、その“さわり”だけが紹介されている。

 この電子版と紙媒体の選別は、多くの雑誌に見られる戦略だが、全体的傾向からすれば、近年は電子版にも惜しみなくスクープを載せるようになってきた。今回は『新潮45』問題という雑誌好きの人や出版関係者が注目する話だけに、紙の雑誌に限定したほうが一定数の売り上げにつながると踏んだに違いない。

 いや実際、私自身、何日か遅れでも帰京したらこの記事のためだけにキオスクで文春を買うつもりでいる。度を過ぎたネトウヨ記事を載せたことによる月刊誌の休刊というデリケートな事態を、同業者はどう報じるのか知りたいのだ。

「スクープ速報」によれば、あの杉田水脈氏を擁護して「LGBTの権利を守るなら、痴漢の権利も守れ」などと主張、新潮45を休刊に追い込んだ小川氏は、『約束の日』というヨイショ本で世に出た“安倍首相の応援団長”らしいが、この人物には、健康食品などを売るネットワークビジネスの会社社長という“もうひとつの顔”もあったという。

 で、詳しくは4日発売の週刊文春にて……と引っ張られてしまうのだが、そちらには氏と安倍首相との関係や、仲間うちでの金銭トラブルなどについて書かれているらしい。ちなみに、この号の発売直前には、やはり右派業界向け月刊誌『Will』が、自分たちと小川氏は無関係だという声明を出し、ツイッター上で話題になっている。籠池夫妻の事件と言い、杉田議員の問題と言い、かの業界の人々には、お仲間の炎上が擁護不能なほど広がると、とたんに他人のような顔をする冷淡さがある。

 沖縄知事選に関しては、櫻井よしこ氏の週刊新潮コラム『日本ルネッサンス』が、我那覇真子という沖縄で有名なネトウヨ活動家女性との対話をベースにして、新知事玉城デニー氏の“危険性”を訴えている。

 この我那覇という女性、翁長知事についても「沖縄を中国に売り渡す」などと誹謗中傷を重ねてきた極右活動家、というか、デマゴーグとして地元では知られている。BPOでその悪質さを指摘された「ニュース女子」でも、我那覇氏やその仲間を一般の沖縄県民のように登場させ、グロテスクな番組作りをしていたが、櫻井氏やニュース女子関係者らは、沖縄の反辺野古世論を批判するにしても、なぜ“ごく普通の自民党支持者”に話を聞かないのか。極論や暴論・でっち上げの有名人ばかり持ち上げて論じるから、その認識は度外れたトンデモ陰謀論になりがちなのである。

 ネトウヨメディア出身の評論家・古谷経衡氏が、ウェブ媒体に書いた沖縄知事選のレポートが面白い。今回の選挙で我那覇氏のような活動家は、自民系候補を応援するつもりが、あまりのデタラメさが有権者に嫌悪され、候補者の足を引っ張った、というのである。《沖縄の保守陣営からも、蛇蝎のごとく嫌われるトンデモ陰謀論のネット右翼は(略)いかなる陣営にとっても害毒しかもたらさない》と、氏はレポートをまとめている。

 何よりも杉田氏や小川氏をはじめ、こうした人々が一様に安倍首相を熱烈に応援し、首相もまた彼らと親しく見えることに、暗澹たる気分になる。申し訳ないが、類は友を呼ぶ、という言葉しか浮かばない。

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三山喬(みやまたかし) 1961年、神奈川県生まれ。東京大学経済学部卒業。98年まで13年間、朝日新聞記者として東京本社学芸部、社会部などに在籍。ドミニカ移民の訴訟問題を取材したことを機に移民や日系人に興味を持ち、退社してペルーのリマに移住。南米在住のフリージャーナリストとして活躍した。07年に帰国後はテーマを広げて取材・執筆活動を続け、各紙誌に記事を発表している。著書は『ホームレス歌人のいた冬』『さまよえる町・フクシマ爆心地の「こころの声」を追って』(ともに東海教育研究所刊)など。最新刊に沖縄県民の潜在意識を探った『国権と島と涙』(朝日新聞出版)がある。

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